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2010.08.13

若者たちの希望とエネルギーの発散場所は・・・『ペルシャ猫を誰も知らない』

Persia
バフマン・ゴバディ監督による問題作、映画『ペルシャ猫を誰も知らない』をようやく観ることができた。
“アンダーグラウンドな音楽”דイラン”という、大変気になるキーワードが2つ合体したこの映画、公開前からいろんな雑誌等で取り上げられていた注目の作品だ。


ゴバディ監督は無許可でゲリラ撮影を遂行。逮捕される危険と戦いながらの撮影だったので、たった3週間以内で全てを撮り終え、完成後はイランから出国して現在はイラクのクルド人自治区に滞在しているとのこと。出演した主役の二人も、撮影終了4時間後にイランを離れた。

実際映画を観て「こりゃ監督も主役もイランで暮らし続けるのは無理だろう。亡命覚悟での決行だったんだ。」というような内容だった。・・・とは言っても、そんな過激な内容っていうワケではない。規制があまりにも厳しいイランだから、上映は不可能だし、だからこそこんな映画が生まれるのだ。

人口の半数以上が大学生以下という、日本とは対照的な若者大国であるイラン。
規制をどんなに厳しくしたって、グローバル化が進む現代社会では海外のカルチャーをシャットアウトすることなんて不可能だ。
エネルギーに満ち満ちた若者たちに、ポップスやロックやハードロックやラップは禁止!なんて、どんなに厳しくしたって無理な話だ。
Persia2

だからみんな網の目をかいくぐりながら、地下室や可能な限り防音させた小部屋や、あるいは牛舎で音楽を演奏する。重低音で思いっきり音を響かせて叫びたいのに、こそこそ練習しなきゃいけないこのジレンマ。でも、困難な状況だからこそ、音楽に対する思いは、とにかく熱いに違いない。

アンダーグラウンドな場所がいろいろあるっていうことは知っていたけど、実際に見たことはなかったので、けっこう衝撃的だった。照明を明るくできないから観客一人一人がロウソクを持って灯りを照らすライブや、街外れの一軒家で開催されるテクノ・パーティ。
若いんだもん、酒を飲むな!男女交際禁止!ロックは聴くな!なんて、キツくすればするほど反抗したくなるもんだよ。

映画の中では、実に様々な音楽が一般テヘラン市民の生活の情景と重なりながら楽しめることができる。ロックやポップス、ラップなど以外にも、伝統的なペルシャ音楽まで多彩なジャンルを聴くことができるので、それだけでも見ごたえ充分。
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さらに、それら音楽をバックに映し出される市井の人々の姿。テヘランの街並みやオシャレな若者からホームレスまで、臨場感あふれる活きたテヘランを知ることができる。

あと面白かったのが、主役ミュージシャンたちのパスポートやコンサートの都合を付けるために奔走する便利屋ナデルがうるさくって早口で人間味溢れてる!イラン行った時、こういう男の人いたって感じ!
一般的に、イランの人って男性はやけに調子良くて、いっつも「問題ない、大丈夫!」と言うけど、女性は案外現実を見ていて悲観的・・・というイメージなんだけど、この映画の登場人物もまさにそんな感じだった。


現状を何とか伝えたくて、自分の人生と引き換えにしてまでイランの問題を映像にして表現しよう、という監督の想いは、自由に対するありがたみを忘れてしまった私たち日本人には計り知れないものがある。国の問題ってその人の一生を左右することに繋がる、という事実に気付かされる、とっても意義深い映画だったと思う。

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