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2010.04.24

超レアバンド、Los Autoresのコーヒールンバ

石橋純先生が編者となり、中南米各国の専門家が独自の切り口で論じる『中南米の音楽―歌・踊り・祝宴を生きる人々』の出版記念会が渋谷のタワーレコードで開催。

当日は
石橋純・岡本郁生・宮田信・倉田量介・水口良樹(敬称略)が出演して、著書の内容をベースとした各専門領域のお話を繰り広げる。

中南米音楽の専門家がこうして一堂に会する機会って、ありそうで滅多に無いと思う。

執筆者の比嘉マルセーロさんも台北からこの日のために駆けつけ、そし、さらには本の装丁デザインを担当した阿部岳さんまで登場する!というめちゃくちゃ濃い面々。それにしても濃すぎる・・・

まずは岡本さんがニューヨークのラティーノについて論じる。サルサの発生から、21世紀、北米ラティーノ音楽の今後について。岡本さんが溺愛しているだろう、ウィリー・コローン&エクトル・ラボーの「エル・マロ」の音源を聴く。これこそニューヨークのバリオで生まれたサルサの象徴的音楽だ。21世紀の音楽、といって取り上げたのはなんとアベントゥーラ。ちょっと意外だったけど、“いなたいバチャータと現代のR&Bそしてヒップホップとの融合”“スペイン語と英語が自然と一体化している”ということを見事に果たしているこのグループは、ある意味ホントにこれからのラティーノたちの音楽だなあ、と実感。しかも南北ラテンアメリカ中の若者の間で爆発的に売れてるし。

そして宮田さんの登場。チカーノ音楽に関してのプロフェッショナルである彼は、メキシコの“suave性”について論じる。suaveとは、ソフト、つまり「ゆるい」ということ。そうだよねえ、メキシコ人ってホント、ゆるい!ワルさをウリに、とんがった音楽を心がけたニューヨークのサルサとは全く対照的。

この二つの地域の比較が面白かった。サルサが前のめりのグルーヴを持つのに対して、メキシコの演奏って、なんだかだんだん遅くなってくる感じ、って常日頃感じてたもん。
こういう視点で二人が順にしゃべったというのはホントに上手い!

それから倉田さんによるキューバ論。マイアミに亡命したアルビータと、キューバからこれからの音楽を発信し続けるジューサとの比較。「内と外からのキューバ性」の在り方について、キューバ人のアイデンティティを実感。

最後に水口さんがペルー音楽を語る。何でも彼は、小学生の頃からメルセデス・ソーサなどを知らず知らずのうちに聴いていたらしい。なんて渋い人だろう。しかも、ペルー、アンデス地方の音楽「ワイノ」を今後も追求し続けるというから素晴らしい。

最も印象的な感想としては、みんな、本当にこれらの音楽を心から愛しているんだなあってこと。専門領域は異なっているけれど、みんな中南米の音楽っていうことで共通しているので何だか親密な空気が漂っている。

で、最後にビックリ仰天のオチが。各々が楽器を取り出し、即席ライブ!しかも最高にベタな「コーヒー・ルンバ」を演奏。

石橋先生のクアトロとヴォーカルから目が離せなかった。しっかり日本語でインプロビゼーションしちゃってるあたりがさすが。
autores(著者)のバンドだから「Los autores」というらしい。歌の中でそう言ってたから。
こんなの聴ける機会って二度とないかもしれない。超レアなライブだ。

前回のブログで、
『カリブ・ラテンアメリカ音の地図』(音楽之友社)にちょっと似た風情を感じます。

と書いたんだけど、それはちょっと違いました。
この本は、国別に論じてはいるけれど、『カリブ・ラテン~』のように各国の音楽総論を基本にしているのとは違い、各執筆者の独自の視点により、今まで日本語の文献ではほとんど紹介されていなかったような知られざる音楽(ジャマイカのダブとか、ブラジルのセルタネージャとか)についても取り上げ、一見狭い切り口を扱っているようで、実はその国の特徴を表現することにつなげている・・・というような奥深さを潜んでいるという点が興味深かった。

貴重なイベントに参加してホント楽しかった!

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コメント

うう、なんという貴重な機会を逃してしまった。

じ、次回こそ。ということで、twitterでタワレコさんをフォローした私であった。

岡本さんだけでなく、アベガクまで来たのか。会いたかったよ~。

投稿: Blue Lotus | 2010.04.24 14:35

>Blue Lotus

うっ、残念・・。weep
石橋先生曰く、6月に東大でもっと盛大に出版記念会やるって言ってましたよ。詳細分かったらまたお知らせします。

投稿: yaco | 2010.04.24 15:26

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